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江戸時代から続く木桶で天然熟成【星野正夫】

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醸造の香りが漂う長岡市摂田屋

hoshino_map「星六」が店を構えている長岡市摂田屋は、醸造の町として知られる地域。古くから信濃川の舟運の港として、また三国街道と北陸街道の合流地点として栄えてきました。そうした土地柄か、役人や僧侶の休憩場所だった「接待屋」がなまって「摂田屋」という地名が付いたと言われています。

 

やがて、物流の良さと湧き水に恵まれていたことから、摂田屋では酒、味噌、醤油などの醸造業が盛んになりました。現在も500メートル四方のエリアに6軒の蔵元があり、レンガづくりの煙突、大きな三十石桶、土蔵、木造の建造物などを巡っていると、あちこちから糀や醤油、日本酒の香りが漂ってくることもしばしば。醸造の町の面影を今に伝えています。

 

そんな摂田屋の街並みの一角、明治時代後期頃に移築の上で住宅と使われ、大正7年(1918年)に曳家された趣ある建物が、無農薬・無添加の手造り味噌を販売する「星六味噌」です。

 

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「物を売ることは苦手でも麹や味噌と話すことができます」

そうおっしゃるのは、この店の店主:星野正夫さん。

星野さんが職人気質であることは、味噌屋になって初めて分かったそうで、夜中に味噌が星野社長を呼ぶ声が聞こえるのだそう。

特に温度が必要以上に高いときなどは、味噌や麹からの波動で気づくことも少なくないそうです。

そんな星野さんが作る手作り味噌は「田舎を思い出すような懐かしい味がする」と好評で、漫画「美味しんぼ」の中で2回も取り上げられています。

 

 

 

 

ajibito_hoshino301昔ながらの天然熟成

味噌といえば1年以上の長期熟成のイメージがありますが、味噌を強制的に熟成できる「温醸法」という技法が一般的になり、市販の味噌メーカーのお味噌はなんと3ヶ月で出来上がります。

星六の味噌造りは、原料となる大豆の水漬けから熟成まで、最低でも1年。長いものでは10年以上熟成されているものもあります。

手作業で作り出される星六味噌は、昔を思い出す懐かしい風味が魅力です。

 

「今、市場に流通している味噌の多くが、人工的に温度を調節して短期間で作り上げる早醸製法ですが、日本の味噌は自然のままにゆっくり熟成させて作るのが本来の姿。うちでは木桶で天然熟成という昔ながらの製法を守っています。

現代の作り方が間違っているとは思いません。現代の作り方は大変効率良く生産でき、お求めやすい価格で味噌を提供できます。もちろん美味しい味噌もたくさんあると思いますし、それはそれでいい事だと思います。

しかし、私は『昔ながらの天然醸造』という、味噌作りの哲学を変えたくありません。」

 

 

酵母が生きている味噌

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素材にも徹底的にこだわっています。使っているのは、無農薬で作られる国産契約栽培の大豆や、JAS認定米・山の清水・伊豆大島産の自然海塩「海の精」など100%国産原料のみ。褐変防止剤やアルコールなどの添加物は一切使われていません。

もちろん防腐剤や薬品なども使っておらず、袋の中でも発酵が続いているため、袋が膨れる事も有ります。

これは酵母の力が生きている証拠です。

 「有機栽培された原料は、自然な味わいがあり、長期熟成させた際に味に深みが出ます。

うちの味噌は『酵母が生きている味噌』ですから、袋が膨れるのです。

物流の簡便化から、大手味噌メーカーは醗酵抑制のためにアルコールを使用していますが、アルコールを入れると味噌の発酵が止まります。スーパーに並ぶ時には、もう『生きている味噌ではない』わけです。」

 

 

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江戸時代から続く家宝

星六味噌には江戸時代から続く「家宝」があります。

店内は奥行きが深く、最奥部の味噌蔵に案内されると、所狭しと並んだ木桶に圧倒されます。

「この木桶こそが、我が家の家宝なんです。

この木桶は江戸時代から継承されているもので、美味い酵母と微生物が生きています。

木桶で熟成させた味噌は、住み着いている菌が星六の味噌蔵の味を生み出すんです。」この桶の中で長期の熟成期間を経ると、味噌の自然の酵母や乳酸菌の働きが強まり、濃厚なコクが醸し出されるのです。

星野さんはそう言いながら、木桶を愛おしげにさすります。

 

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江戸時代から続く木桶を使い、天然熟成でじっくり育まれる本物の味噌にこだわる味噌蔵。

星六の味噌は味噌蔵の中で、熟成保存されます。長期熟成に耐えるため、塩分は高め。

1年、2年、3年と年数が経つごとに色が濃くなっていき、味も変わっていきます。

 

「1年ものは人間で言ったら10代。わが道を行くっていう感じですね。甘さもしょっぱさもまだ強い。2年ものは人との調和を考えなきゃいけない30代ぐらいかな。彼女とか家庭もできてね。3年ものは50代。自分の人生もよかったかなと振り返る感じ。」

人生になぞらえて味噌の熟成を楽しげにお話しされる星野さんです。

 

 

ajibito_hoshino307「これだから星六だ」という個性

3年ものになると、「クセのある香り」がするそうです。

「だけどこの3年ものの根強いファンもいるんですよね。ちょっとクセのある香りがするんですけど、これがあるから星六味噌なんだといってくれる。でも逆にこれが苦手な人もいる。面白いですよね」

 

星野さんが目指すのは、きれいな色合いや軽い香りがする味噌ではありません。

「重い香りなのに口にするとたちまち懐かしくなり、疲れを癒すような味噌が造りたいんです。そのためには、家に住み着いた酵母と手についている常在菌で造ることが、昔ながらの味噌を造るポイントなんです。」

『変わらないこと』こそ、究極の感動を生み出すのかもしれません。

 

ajibito_hoshino310「10人のうち1人でもおいしいという人がいれば、この村で造り続けたい。」

星野さんには、事業を拡大したいという欲はまったくありません。

大手メーカーが全国の味噌を牛耳るのではなく、かつての村の味噌職人が復活し、村の小さな味噌屋がたくさんできることこそ理想と考えています。

 


終わりに

「『手前味噌』という言葉があるように、昔はどの家も、それぞれ自分たちで味噌を仕込んだものです。星六の味噌は、その製法と同じ天然熟成なので、味わいも昔ながらの本物の味噌そのものだと思います。

お客様から、『病床の父に星六の味噌の味噌汁を出したら、幼い頃に食べていた自家製味噌の味とそっくりだと言って懐かしんでいた』とか、『味噌汁を孫が喜んで飲む』という話を伺うと、とても嬉しいです。

大豆そのものは消化の悪い食材ですが、日本人は大豆を味噌に加工するという技によって、良質のたんぱく質を摂れるようにしました。

それは、味噌を作る過程で、微生物が大豆のたんぱく質を分解することで、消化吸収が良くなるから。

こうした知恵が詰まった素晴らしい日本の伝統食を残していくことが、うちの味噌づくりのポリシーです。

天然醸造の味噌作りを次世代につなげるためにも、命の続く限り、元気で味噌を作っていきたいと思います。」

星野さんの味噌には職人の技とぬくもりが詰まっています。

 

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