講師 二神友英 さん

昭和37年創業の鰹節問屋マルサヤにて、長らく仕入業務や営業活動などに従事。

2014年12月、代表取締役社長に就任。

創業以来一貫して「ほんもの」にこだわった商品提供を旨とし、製造から二年以上の時間を経て作り上げる本枯本節二年物は、まさにこのこだわりの結晶。

鹿児島や静岡をはじめとする産地に自ら行って直接買い付けも行い、日本全国から多種多様な乾物類を仕入れている。

近年では国内のみにとどまらず、韓国やシンガポールをはじめとする海外にもその活動の拠点を広げている。

鰹節問屋 株式会社マルサヤ

香川県観音寺市「丸佐屋うどん」
シンガポール「だし処 丸佐屋」

日本橋料理教室

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過去開催記事

「あじたびサロン」とは

楽しいシニアライフを考える上で食生活は欠かせません。
日々の食事が美味しくて、食事の時間が愉しい。これほど幸せで健康なことはありません。

『美味しいシニア向けメニューを考える』 これが「あじたびサロン」のテーマです。
これまで仕事に家庭に、日々の生活に追われ、自分たちの時間もなく過ごしてきたシニアの方々ですが、今ようやく自分たちの時間を持つことができるようになりました。

元気なシニアの皆様に向けた、美味しく楽しく、ちょっと健康や身体のことも気遣って・・・そんなレシピを、少人数二人前から作れるよう考えていきます。
ご夫婦二人で作って美味しい、ご家族みんなで作って楽しい、そんなレシピをご提案します。

「皆様で美味しい食事の時間を過ごしていただきたい。」それが食材をお届けする者の願いですが、食材をより美味しく料理していただけたら嬉しいですし、素材を無駄なく使うことで食材たちも喜ぶはずです。

毎回その道の達人をゲストに招き、私たちがネットワークする生産者、料理人、多くの志のある方にもご登場願います。
産地の光景や食材のルーツ、作り手の苦労や料理のひと手間など、普段なかなか聞くことのできない秘話を伺ったり、伝統的な食文化や食習慣について学ぶことは、皆様がご自宅で楽しめるメニューの参考になるはずですし、「日本の食」の素晴らしさを次世代へ継承していく一助になるはずです。

私たちと一緒に、食べて、学んで、愉しむ「味な旅、味の旅」に出掛けましょう。

「あじたびサロン」編集長 渡辺幸裕


今回の食材と料理

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今回のあじたびサロンは3月10日に行われました。出汁について学び、味わい、日本の食文化の素晴らしさを実感しました。


講師 二神友英さんインタビュー

二神社長に聞く

今回のメニューを考えた理由

テーマが「出汁」ということで、ご家庭でも簡単に作れ、かつ出汁をじっくりと味わえるうどんを選びました。

同時に、出汁とり順に、先ずは昆布出汁だけで味わい、煮干を入れて味わい、最後に鰹節を入れて味わい、重なりゆく出汁の深みも実感していただこうと思いました。

また、これを作る際に出る出汁ガラもオカカにして、最後まで食材を使い切っていただこうというコンセプトにしました。

 

出汁についてどのようにお考えですか?

出汁の基本の一つである鰹節は、古くは古事記にもその記載があり、代々日本人にとって大切な食材として使用されてきました。まさに私たちの血肉の一部となっていると言っても過言ではないと思います。

鰹節の他、昆布や椎茸、煮干しなどの出汁には、豊富な旨味が含まれています。この「旨味」という言葉は、今や第5の味覚(ほか、甘味、塩味、酸味、苦味)として広く世界中に知られています。

鰹節にはイノシン酸、昆布にはグルタミン酸、椎茸にはグアニル酸、とそれぞれに旨味成分がありますが、これらは単独でとるよりも複合的に使うことで相乗効果を発揮し、より強い旨味を感じることができます。

例えば一番出汁(鰹節と昆布の合わせ出汁)は、まさにこの相乗効果を狙った大変わかりやすい例ですが、いにしえの日本人がイノシン酸やグルタミン酸を知っていたわけではありません。

 

 

まだ科学的な技法が成立する前から、日本人は旨味に注目し、これを最大限発揮できるような仕組みを考えてきました。和食はいわばその集大成であると言えます。

出汁取りというと、とかく面倒で手間のかかる作業と思われがちですが、実際にはちょっとした手間や工夫で簡単に取ることができます。例えば、市販のお茶パックなどに出汁の材料をいれていただくことで、簡易的に出汁パックを作ることができます。こうすることによって、濾すという作業が短縮され、また後片付けも手早く済ませることができます。

出汁というものはまだまだ可能性のある素材で、調理方法も無限大にあると思います。その組合せ方や、取り方、分量などを工夫することで、料理の幅も広くなります。その可能性を見つける楽しさを是非とも知っていただき、より豊かな食生活を実現していただければ幸いです。

 

 

 

うま味調味料についてどう思われますか?

ここ15年くらい幼稚園や学校などで、出汁の食育活動をボランティアでやらせていただいています。

その中で必ず実践するのが、二年間熟成させた鰹節(枯節)、製造から半年程度の枯節、カビ付けをしていない鰹節(荒節)、うまみ調味料の4種類をお吸い物にして飲み比べてもらい、どれが一番美味しいか答えてもらう試みです。

5~6歳児のお子様や小学校低学年の児童は、必ず二年物の鰹節の出汁を「おいしい!」と言ってくれます。一方で、一緒に参加している保護者の方に試してもらうと、枯節の出汁になじみがないためか、荒節でとった出汁やうま味調味料で作った出汁を美味しいとおっしゃる方が多数いらっしゃいます。

以前に犬や猫で同じことを試みたのですが、まっしぐらに駆けつけるのは二年物の枯節で、うまみ調味料には見向きもしませんでした。

 

 

もちろん、うま味調味料が悪いとは言いません。時間のないときや簡便に済ませたい時などは、大変便利なものです。しかし、香り豊かで奥深い出汁の旨味などは、やはり昔ながらのやり方でないと表現するのが難しいと感じます。お料理にじっくりとお時間をさける機会などございましたら、本格的な出汁取りにも積極的に挑戦していただければ幸いです。

 

シニアと出汁とのかかわり方について

ある時、10~15歳くらいの児童とその保護者の方々が、一緒に出汁の飲み比べをする機会がありました。それくらいの年ごろになると、まずは先生やご両親の顔色をうかがいながら、大人が美味しいと言うものを美味しいと言う子どもたちが出てきます。

面白いことに、自分で美味しいものを判断するのではなく、保護者の方々の味覚を正しい味覚だと認識することがあるのです。

 

 

よく「おふくろの味」と言いますが、子どものころに感じた旨味や美味しさのイメージは、大人になってもそのままその人の中で生き続けます。前述の大人の味覚に倣う子どもの例などは、まさにこのことを体現している一例とも捉えられるのではないでしょうか。

昨今、ファストフードの味や、市販のスナック菓子の味、つまり濃厚で塩味が強い味を美味しいと認識している世代が親となる時代になっています。このような親の元に育った子どもたちは、その親に倣って濃厚で塩味が強い味を美味しいと認識するようになる可能性が十分考えられます。

これは、美味しさという概念に大きな転換をもたらすかもしれない大変重要な問題で、特に今まで継承されてきた伝統的な和食における旨味の概念も変わってしまうのではないか、という懸念もあります。

 

 

 

 

そこで重要になってくるのが、シニア世代の存在です。

シニア世代の方々は、子どものころに鰹節を削ったこともあれば、その出汁をつかった料理で育った世代でもあります。特に現在50代以上の方々は、親に言われて鰹節を削った記憶などもあるのではないでしょうか。

現在、カビ付けを施した枯節と呼ばれる鰹節は、需要の減少に伴い、生産量も減少しています。この枯節、ことに本枯節とよばれる鰹節を作ることができる職人の数も、非常に少なくなってきています。さらには、その中でも高齢化や引退する方も増えてきており、本当に美味しい鰹節を作れる職人の数は、ごくわずかに限られてきているのが現状です。

 

 

 

 

 

日本人が古くから受け継いできた鰹節をはじめとする出汁と旨味の文化を次世代へと継承させるためにも、シニア世代の方が、例えばお孫さんとご一緒に出汁取りを実践していただいたり、出汁をふんだんに使ったお料理などで食卓を飾っていただいたりと、様々な方法でこの古き良き文化を次世代へと伝えていただけましたら嬉しく思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


試食会参加者の声

小田哲大 様  本来のだしの味を満喫しました。手をかける程、美味しくなることが分かりました。日本料理の基本(生命線)が「ここにあり」の思いでした。

小田鈴子 様  専門家のお話を聞き、調理実習も出来て楽しい2時間でした。出汁のもつ力に改めて感動しました。1+1+1が3ではなく広がりをもつことは驚きです。

佐竹操 様  初めての経験でしたが、満喫出来ました。改めてかつお節をけずってとる出汁のうまさに感動すら覚えました。

福島明 様  出汁の取り方の基本から解説していただきありがたかった。普段インスタントの出汁に慣らされ、本来の出汁の旨味を忘れていた自分に気づいた。子供には本来のものを食べさせたい。。

岡田美野里 様  かつおぶしを削ったのは初めてだったので楽しかった。2時間楽しくてあっという間でした。こんぶ、にぼし、かつおぶしと味を重ねたからか、どんどん味が深くなっていくのが分かって、新鮮でした。

中山未央様  削るところからダシをとったのは初めてでとても面白く興味深かったです。なかなか自分の家でかつおを1本買おうと思うとハードルが高いけれども、少しダシを身近に感じることができたと思います。。

山之内昌子 様  75才ですが「かつおぶし」の事など知らないことがありました。天然の素材で作った出汁は最高に美味しく、ぜいたくこの上なしでした。

中村拓人 様  素材の魅力等を聞くことができて良い機会でした。良い素材からはやはり味が出るのだとあらためて感じました。

阿部琴栄 様  家庭科の調理実習を思い出し、とても楽しかったです。実際に作りながら学ぶと「家でもやってみよう」という気持ちになりました。早速、週末に思い出しながらやってみようと思います。

渕脇建夫 様  大変ぜいたくな出汁を頂けて感激しました。なかなか日常ではこんなことは出来ないと思ってしまいます。つい簡単な化学調味料でやっつけてしまうことを少し反省しました。

笹澤智恵 様 初めて正しい出汁の取り方を教えて頂きました。今後に役立てられる良い機会でした。
出汁の奥の深さを味わえて良かったです。とても美味しかったです。

八川亜樹 様 楽しくて美味しかった!説明の時間も丁度良く、作業も簡単だったので楽しみながら出来ました。食材それぞれ、全てがすごく美味しかった。やはりこだわりの食材は違うなと思い感動しました。日々の食事をもっと大切にしていきたいという気持ちが生まれた。かつお節削り体験も良かったです。出汁をきちんと取る事は、そんなに大変でない事がよく分かったので休日には家でやってみたいと思いました。

渕脇令子 様  出汁の1つ1つの味を確認しつつ、その相乗効果を実感できて、日本の出汁の奥深さを感じました。鼻に抜ける香りと旨味、塩を入れなくても、しっかりとした味に感動しました。ふだんの生活にはぜいたくな気がしますが、可能な範囲でぜひ使いたいです。

箕輪 恵 様  お料理教室形式も、楽しみながらでとてもよかったです。食べる前から、香りがすごく良かったです。どんなお味かな?と想像しながらの味は、ダシの味はこんなに澄んでいるんだ!と驚きました。

児玉奈央 様  出汁を最初からフルで作ることが初めてで、とても楽しかったです。改めて、先人の知恵と伝統に感謝!口の中だけでなく『顔全体』で味わってる感がしました。


総括

今回のあじたびサロンのテーマは「出汁」

全国各産地の鰹節を扱う鰹節卸問屋:株式会社マルサヤの二神社長をゲストにお招きし、出汁を使ったレシピを披露していただきました。

前回までのあじたびサロンは、料理人やシェフの方にシニア向けレシピを考えていただき、実際に調理していただいたものを試食しながら、意見交換をおこなうというスタイルでした。

しかしながら、「レシピはもらったものの、なかなか料理を作る場面がない」との感想も少なからず頂戴していたため、今回はいままでとは趣向を変えて、参加者の方も料理作りに挑戦していただく会にしました。

冒頭に、鰹節について二神社長より簡単な説明があった後、早速実践。

各テーブルに鰹節と削り器が準備され、まずは鰹節削り体験が始まりました。

削る向きにコツがあり、刃に対して、頭側を手前にし、身側を下にして削ると綺麗に削れるとのことで、さっそく向きを確認し削り出し始めると、あちこちからシャリシャリと良い音がしてきます。

シニアの方はさすが昔取った杵柄。「昔やらされたもんね。子供のころ。」と、熟練の腕前を披露しながら、堂に入った手際で、どんどん鰹節を削っていきます。

交代で削りながら、「こんなに小さくなったの(鰹節)を赤ん坊に良くしゃぶらせてね。」と子供のころを懐かしみ、楽しく談笑しながら削っていました。

しばし削ったところで計量。

普段の食育教室では、5~10g程度取れれば良い方という削り節が、さすがシニアの方々。

今回のサロンでは20g前後と、いつもの倍以上取れ、これには二神社長もビックリ!

中には30gを超えるグループもあり、「うちの鰹節工場で是非ずっと削っていただければと。」と二神社長が冗談交じりにおっしゃっていました。

削り出した鰹節を、前日より水出ししていた天然の利尻昆布と、かえり煮干し(生まれたばかりのイワシの煮干し)と鰹節を加え、出汁を作っていったのですが、昆布だしに煮干しと鰹節を加えることで、出汁が旨みの相乗効果を引き出し、どんどん美味しくなっていくのを参加者全員で体感しました。

特に鰹節を入れた瞬間に、会場内には良い香りが立ち上り、出来上がった出汁をひとすすりすると、会場内からは「あ、もう全然ちがう!」「うわぁ~」「おいしい」「鰹節すごい」との歓喜のどよめきが!

出汁と、みりんと醤油だけで作ったかえしを合わせてうどんつゆに。今回はこのつゆをきしめんでいただきました。

きしめんをすすりながら、やはり話題は出汁の美味しさに。

「やっぱり三種類入れてるだけあって美味しい!」とか「しょっぱいという訳ではなく、しっかりしている。」「だしがすごい。」という感嘆の声が上がっている中、「今回の出汁を再現して、是非孫に飲ませたい。」という出汁文化の継承の声も聴かれました。

残った出汁がらは佃煮にして、魚沼産コシヒカリのご飯に混ぜて、おかかにぎりにしました。「食材を使い切る」第1回からあじたびサロンが目指しているもう一つのテーマです。

「和食=世界文化遺産」と捉えがちですが、実は、和食が世界文化遺産に登録されたわけではなく、正確に言うと「和食。特に正月におけるおせち料理などにみられる多様な食の広がり」が文化として登録されたそうです。

その中でも特に「出汁」が、世界文化遺産に登録された一つのポイントになっています。

今回は、和食の広がりの要である「出汁」を見直す良いきっかけになったこと、そして何よりも「自分で作ったものを自分で食す」という、食本来の楽しさを知ったサロンでした。

 

 


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ご一緒に美味しいシニア向けメニューを考えませんか?
ご登録いただいた方は以下を考えています。

・試食会への参加資格
・モニター・セミナー等への参加資格
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これらのイベントを通じて、皆様方とご一緒にシニア向けの美味しいメニューを考えて行きたいと思います。
専門家や識者のセミナー、生産者や料理人を囲む会、レストランで食する会、産地訪問の旅、など、楽しく学べるプログラムを考えます。
おひとりの参加者が多いですが、「食」という共通の話題が、初対面でもすぐ懇意になるような愉しい空間です。
会話も弾みますので、おひとりでも安心してご参加ください。
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