九十九里浜【匝瑳市】
銚子に別れを告げ、次に向かったのは千葉県・九十九里浜。

左手に青い海とどこまでも続く砂浜が続く景色を眺めながら、ひたすら車を走らせます。
太平洋に面して約66kmにもわたって続く長大な砂浜「九十九里浜」は、日本でも有数の海岸線。サーフィンのメッカとして知られており、海岸線を車で走っていると、あちこちでサーファーたちが波乗りをしている姿が見受けられます。


そんな九十九里の名産品として国内最大量の水揚げを誇り、全国的に知られているのが「はまぐり」です。
今回はそんな地はまぐりを求め、地元の水産会社:丸六の青柳さんを訪ねました。
「九十九里の海岸は遠浅で砂目が細かいんです。この環境がハマグリが好む生息地で、稚貝が沈着しやすく、砂に潜ることでストレスが無く成長できます。
また親潮と黒潮が入り乱れる九十九里の沖合はハマグリのエサとなるプランクトンが大量に発生します。
さらに太平洋の荒波の中、砂の中を移動することで身が引き締まり、肉厚でプリプリとした食感が生まれます。
こうした絶好の環境の中で育つため、九十九里のはまぐりは身が大きくて、濃厚な味わいになるんですよ。
まずは『論より証拠』食べてみてください。」
そう言いながら、ずっしり重い大ぶりのはまぐりを浜焼き用の網に載せ、焼き上がりを待つことに。

「九十九里のはまぐり漁は、大きな熊手のような『マンガ』と呼ばれる漁具を曳きながら砂の中のはまぐりを掬い上げて、後ろについた網で受け止めるんですが、スピードを落としてゆっくり曳くんです。
はまぐりはデリケートな生き物で、急いで獲ると弱ってしまい、旨みが落ちるんです。そのため、あえて効率を落とし、丁寧に漁を行っているんです。
水揚げ時間も気温の低い早朝に行うことで品質を保っています。色々手間はかかるのですが、その分はまぐりが旨くなるんですよ。」
そんなお話を聞いていると、はまぐりの殻がパカッと開き、磯の香りとともに、旨味をたたえた貝の汁がふつふつとあふれ出します。
中から現れたのは、ふっくらと膨らんだ肉厚の身。そのまま一気に頬張れば、噛んだ瞬間に甘みと旨みが弾け、凝縮された出汁と一体となって広がります。
ぷりっと弾ける熱々のはまぐりは、思わす唸ってしまうほどの、たまらない美味しさです。

「九十九里漁協では将来もはまぐり漁が安定しておこなえるよう資源の維持に努めています。例えば、殻長5cm以下の貝は再放流しています。また、春から夏にかけて波打ち際に出現する稚貝や小型貝を沖合に放流することで、大きく育ててから漁獲する取り組みを行っています。」
広大な砂浜、栄養豊富な海、丁寧な漁、そして資源を守る取り組み。
それらすべてが揃ってこそ、九十九里の地はまぐりというブランドが成り立っていることを実感しました。
追記:
はまぐりをごちそうになり、腹ごなしに海岸を散歩することに。
どこまでも続く砂浜と、規則正しく打ち寄せる波。
穏やかな景色を眺めながら歩いていると、ふと足元に打ち寄せられたはまぐりが!
「この焼き立てのはまぐりとビールの相性が抜群なんですよ。」
先ほど青柳さんが話していた言葉を思い返し、『家に持ち帰ってビールで1杯!』そんな誘惑が一瞬、脳裏をかすめましたが、
「波打ち際のはまぐりを持ち帰ると『密漁』になり、最高で100万円以下の罰金が科せられる場合がるので気を付けてくださいね。」
との言葉も思い出し、砂浜に出した手を慌てて引っ込めました。
「次回は必ず電車かハンドルキーパー同伴で来るぞ!」と、そんな決意を胸にその場を後にしたあじたびスタッフでしたが、駐車場からしばらく車を走らせたところで「お土産で買って帰れば良かったのでは?」とふと我に返り、慌ててハンドルを切り返し、青柳さんのもとへ引き返しました。
















