吉岡英尋氏 笠原将弘氏

なすび亭:吉岡英尋氏

料理学校を卒業後、東伊豆「つるやホテル」、永田町「瓢亭」、ふぐ料理「山田屋」などで修業。
永田町「瓢亭」では首相官邸出前料理番を任され、2000年に、東京恵比寿に「なすび亭」を開店。
なすび亭では、ミシュランガイド東京 で2年連続星獲得し、メディアにも多数登場。今や日本を代表する和食料理人。

賛否両論:笠原将弘氏

「正月屋吉兆」で9年間修業後、実家の焼鳥店「とり将」を継ぐ。
店の30周年を機に一旦店を閉め、2004年、恵比寿に「賛否両論」を開店。
独創的な感性で作り上げる料理が評判を呼び、たちまち予約の取れない人気店となる。
2013年、名古屋市に「賛否両論名古屋」、2014年、東京都渋谷区東に「賛否両論 はなれ」を開店。
基本的な家庭料理から専門料理まで、和食の魅力を伝える著書も多数。
現在、フジテレビ「ノンストップ!」にレギュラー出演中。

会場:賛否両論

東京都渋谷区恵比寿2丁目14−4
03-3440-5572
https://www.sanpi-ryoron.com/

賛否両論の予約はお電話にて
毎月1日の14:00から翌月分の予約受付を開始しています。



過去開催記事

「あじたびサロン」とは

楽しいシニアライフを考える上で食生活は欠かせません。
日々の食事が美味しくて、食事の時間が愉しい。これほど幸せで健康なことはありません。
『美味しいシニア向けメニューを考える』 これが「あじたびサロン」のテーマです。
元気なシニアの皆様に向けた、美味しく楽しく、ちょっと健康や身体のことも気遣って・・・そんなレシピを考えていきます。

現代社会において、冷凍食品やチルド食品は簡単で便利な食事として、日本の食卓に欠かせないものになっています。しかしそれに伴い、料理を作る機会が減りつつあります。

料理離れが進む今だからこそ、今一度、国産食材の良さ、旬や鮮度、食感を感じられる料理を作ってみませんか。
ご夫婦二人で作って美味しい、ご家族みんなで作って楽しい、手間のかからないレシピをご提案します。
またサロンの中で、生産者の方から産地の光景や食材のルーツ、苦労やこだわりなど、普段なかなか聞くことのできない秘話を伺ったり、ゲストを招いて、伝統的な食文化や食習慣について学び、「日本の食」の素晴らしさを再発見していきます。

私たちと一緒に、食べて、学んで、愉しむ「味な旅、味の旅」に出掛けましょう。


今回の食材と料理

吉岡英尋氏 笠原将弘氏さんインタビュー

今回のメニューを考えた理由

ご家庭でも簡単にできる料理をというコンセプトでしたので、近所のスーパー等でも比較的手に入りやすく、使用する機会の多い食材を使用しました。

また、今回のサロンで食べて終わってしまうような複雑な工程や技術を必要とする料理ではなく、工数を減らしたなるべくご家庭で再現できるような感じのレシピにしました。

今回のレシピはそんなに難しいものはないと思いますので、ご家庭でも是非実践していただければと思います。

 


今回のメニューで留意した点

ご家庭で簡単に作れる料理の中でいかにプロの技を入れていくかを考えました。
鯛は敢えて丸ごと一匹を使用して、鯛を捌くための技術というかコツを実演で見ていただければと思いました。また、塩や酒、昆布など、基本的な調味料の使い方や出汁の引き方、下処理の仕方をほんのちょっと変えるだけで仕上がりが全然変わってくることを実感いただけたかと思います。

熱の入れ方についても、ご家庭でプロの味わいに近づけていただくために、鶏むね肉は余熱を使って調理する方法や、厚みのある豚肉は敢えてカットすることでムラなく火を通す方法をご案内しました。

また、大根の代わりにカブをすりおろしてみぞれ和えにしたり、黄身酢を作ったりと、比較的簡単ですが、普段ご家庭ではあまりやらない組み合わせや調理法も取り入れてみました。

 

料理を作る上で普段からこころがけていること

和食の良さは料理を通して季節を感じられるところにあると思います。今回のメイン食材は通年で手に入るものが多かったですが、たとえばそんな食材の中に、カブや新玉ねぎ、アスパラガスと言った春を感じられる食材を織り込むことで季節感を演出できます。

味のバランスも大切にしています。今回のサロンでご案内した「三同割り(三種の調味料を同量で割る)」は和食の基本ですが、バランスが良いため味が決まりやすく、肉・魚・野菜を問わず使用できるので便利です。

今回はメイン料理が多かったですが、通常和食のコースですと突き出しからご飯ものまで、全体の料理のバランスを考えながら組み立てていく必要があります。
アクセントも大事です。今回使用したホタテにフルーツトマトを加えて酸味を演出したり、牡蠣に生姜汁を搾って加えることで味が締まるので、そこも心掛けています。

 

我々料理人にとって最も大切なのは「素材を無駄にしない」ことだと思います。
今回ご案内した卵白のソースは余った卵白を何とかできないかというところから生まれたレシピで、生産者の方が丹精込めて作っていただいた食材を余すことなく、最後まで美味しくいただけるよう仕上げるのが我々料理人の務めだと思っています。

 

 

当日のサロンの様子

今回のあじたびサロンのテーマは「手軽に簡単!プロの味」ということで、なすび亭の吉岡シェフと賛否両論の笠原シェフがコラボレーションし、あじたびの厳選食材を使った料理を考案。家庭料理に使えるプロのコツを伝授いただきながら、両シェフに自ら調理をしていただきました。

冒頭に両シェフの挨拶があった後、吉岡シェフから3品を実演形式で作っていただきました。

一品目の「鯛の潮煮」は丸ごと一匹の鯛を捌くところから始まりました。骨ではなく関節を見極めて包丁を入れると簡単に捌ける等コツを説明していただきながら、華麗な包丁さばきであっという間に鯛を三枚におろし、通常出刃包丁を使わないと難しい鯛の頭も普通の包丁で簡単に梨割りにする姿に参加者から歓声が上がりました。
アラの下処理は、塩をきつく振ることで臭みが抜け、旨味が凝縮されるため、プロの仕上がりになることを教えていただきました。

 

潮煮に向き不向きな魚や、昆布の取り方、酒の分量など懇切丁寧に教えていただきながら、じっくりと炊き上げた潮煮は、調味料に塩と酒しか使っていないとは思えないほど旨みたっぷりの味わいに会場からは思わずため息が。
試食した笠原シェフも「美味しいですねぇ」と感嘆していました。

二品目は「ホタテ貝とフルーツトマトのみぞれ和え」。
ホタテを貝柱だけではなく、肝やヒモの部分も使用し、大根ではなくカブを使ったおろし和えは、大根ほど強い辛みが無く、カブ独特の甘みがホタテの甘み、フルーツトマトの酸味を包み込んで一体感のある味わいに。
吉岡シェフ監修の「匠味だし」から取った白だしとアクセントに入れた和辛子が良い仕事をしていました。

殻付きのホタテは肝やヒモも楽しめるだけではなく、刺身の器にしたり、グラタンの容器にしたりと用途を上げていく中、笠原シェフから「水着にしたり」との発言があり、一同大爆笑。賛否両論の若いスタッフに言っても通じないそうですが、そこはさすがシニア世代が集まるサロンだけに理解度100%でした。

 

三品目は「妻有ポークのサイコロステーキ」。

ロース肉のブロックを一枚肉で使用せず、サイコロ状にカットすることで火入れが簡単になり、家庭でも美味しく仕上げられる工夫がされています。

醤油と酒とみりんを同量で割る「三同割り」のタレとすりおろした新玉葱、生姜が肉と良く絡み合い、ご飯が欲しくなる味わい。

「このお料理、本当に美味しい!」との声に吉岡シェフが「本当はこの料理の美味しさは『腕』と言いたいところですが、豚肉の美味しさのおかげです。」と謙遜されていました。

 

 

吉岡シェフが三品作り終えて、笠原シェフにバトンタッチ。

 

笠原シェフの一品目は「比内地鶏の茹で鶏黄身酢がけ」。
ご実家が焼き鳥屋を経営されていて、ご自身も4年半修業をされ「鶏肉の魔術師」の異名を持つ笠原シェフ。鶏肉の下処理の仕方から始まり、特にむね肉がパサつかず失敗しない火入れの仕方を教えていただきました。

火入れの間に和食のマヨネーズ「黄身酢」と笠原シェフオリジナルの「卵白ソース」を作っていただきました。
特に卵白ソースは吉岡シェフが「全国の料理人が真似したい味」と絶賛されていました。

30分火入れがかかる鶏肉も、そこはテレビ収録が多い笠原シェフ。「差し替えておきました!」と調理済みの鶏肉がすぐに出てきました。

もも肉のジューシーな味わいとむね肉のしっとり上品な味わいがそれぞれのソースと良く合い、参加者からも「使っている材料は特別なものではないのに、全く違う料理ができてしまうのが凄い。」と感心していました。

 

二品目は「牡蠣と水菜のお浸し」。
当日用意した室津の牡蠣の鮮度と味わいに笠原シェフも「生で充分美味しいので本当はそのまま出したいのですが、それだと料理にならないので…」と前置きの上、牡蠣を出汁で軽く煮てサッと火入れして、冷ましたお浸しを披露してくださいました。
たっぷりの出汁にじっくり浸すことがコツで、優しい味ながら牡蠣と水菜に出汁の旨みが十分に感じられるプロならではのお浸しに。

仕上げに加えた搾り生姜の風味で味が締まり、より一層美味しく仕上がっていました。

三品目の「するめいか肝バター炒め」は、釣り好きのお父様が良く作ってくれたという、幼少期の笠原シェフが大好物だった料理を再現していただきました。

今回、石川県は小木の船凍スルメイカを使用したのですが「本当に鮮度が良く、特に肝がツヤツヤで凄いです。」と大絶賛されていました。

 

野菜に火が入ったら、輪切りにしたイカを軽く炒めて、三同割りにした調味料と肝をフライパンに加え、潰しながら絡めるという豪快な料理。

バターがポイントで、肝とバターの香りが店内に広がり、香りだけでどんぶり飯が三杯行けそうな感じです。

ご飯とともに提供され、「残った汁をごはんにかけて食べる」という笠原シェフが一番好きな食べ方を参加者の皆様も実践され、その美味しさに恍惚の表情を浮かべていました。

質疑応答タイムでは、貝の炊き込みごはんの生臭みを取る方法についての質問に、吉岡シェフより一度塩焼きにしたり、煮てから煮汁と一緒に炊き上げる等、熱を加えることで生臭みが消えるとのアドバイスをいただきました。

 

 

 

 

終わりに

物流インフラが発展したことで、生産者と消費者が直接つながるようになり、我々が修業していた時代に比べ、市場を通さなくても産地から良い食材が直接届くようになりました。

実際に我々の店舗でも一部の食材は、市場ではなく産地から直接取り寄せています。

そんな中で信頼できる生産者に巡り合えるかは、我々料理人にとっても重要なポイントです。

あじたびさんは、現地へ行って生産者と直接話をし、実際に食材を吟味した上で商品を選定されていると伺っています。

産地へ訪問することで生産者と信頼関係が出来、自分の舌で味わうことで品質の高い商品を自信を持ってご案内しているので、我々料理人にとっても、あじたびさんは魅力的なサイトだと思います。

 

また市場は全国の食材が集まってくるため、欲しい食材が手に入ると言う点では便利ですが、特定の生産者の商品だけを仕入れることは難しいです。

今回サロンで使用した食材はどれも生産者の顔が分かるもので、それだけで安心感が違ってきます。また、食材の背景も含めた商品の紹介があったため、より一層食材に対する理解が深まりました。

我々も調理をしながら、豚肉の柔らかさと美味しさに感動したり、牡蠣の味の濃さに驚いたりと新たな発見がありました。
特に冷凍イカの肝の鮮度の良さにはびっくりして、この肝の鮮度ならばと、幼少期の思い出の料理を思いついたりと、食材からノスタルジーに浸ることができました。

二人とも恵比寿に店を構えているため普段から交流はありますが、二人で厨房に立つ機会はなかなか無いため、今回このような場で一緒に料理ができて非常に楽しかったです。

 

【動画】あじたびサロンダイジェスト版


試食会参加者の声

大須賀寿美 様 初めて参加させていただきました。プロの手さばきや美味しくいただけるコツをライブで教えていただいたので勉強になりました。新鮮な材料をつかうことと加熱時のテクニックがポイントで、シンプルな味付けでも深みが出ています。家庭でもできるメニューでしたので早速試してみたいと思います。黄身酢と白身のソースは美味でした。今回は和食でしたが洋食やデザートづくしの回があっても参加したいと思いました。
岡村こず恵 様 人気店の「賛否両論」に来れて素敵な体験ができました。たくさんの料理を楽しみながら家庭でも作れるように、食材の特徴など丁寧に教えてくださり分かりやすかったです。白だしの素、卵白マヨネーズなど試してみたいと思うレシピがたくさんありました。普段は野菜中心で旬のものを食べるようにしています。
石原葉子 様 誰でも手に入れることができる食材でここまでレベルの違うものが出来る料理は本当にすごいと思いました。味もすべてバランスよく、塩加減という言葉がまさにピッタリでした。かわった調味料はいらず、酒、みりん、しょうゆ、塩でここまで幅がひろがるとは本当に料理の世界は奥が深いと思いました。このようなプロの世界を真近でみれる機会がもっとたくさんあればよいと思いました。魚の下処理が大変勉強になりましたので、食材の下処理特集もあればよいなと思いました。
岡崎千尋 様 食材の質の高さを感じます。いつもとひと味違う風味が楽しめることが分かり、家で実践してみたいです。笠原さんの黄身酢と鶏肉、吉岡さんのポークのソースは一度はチャレンジしたいです。生牡蠣の処理の仕方は新鮮でした。魚のさばき方や土鍋料理を習いたいです。
熊田奈穂子 様 とても楽しみにして居りました。今回、鯛はもちろんですが他の食材もとても美味しく、料理の手順は大変勉強になりました。普段はなるべく旬のものを使うようにしています。また、毎日の料理が同じものにならないようにするのも大切だと思っています。このような企画を今度は友人と参加したいと思います。

富岡正義 様 

両シェフより、食材の扱い方など詳しく聞けて目の前で料理の仕方を見れたのが良かったです。ひと手間加えることで美味しく食べることが出来るので今後、料理をする際の参考にさせていただきます。あじたびの食材は、新鮮な一流の食材であることがよくわかりました。食材の現地へ行って、シェフに料理をしてもらい食を楽しむ企画も是非お願いします。

尾崎美穂 様 火加減の大切さがよくわかりました。加熱しすぎない。あと調味料の黄金比もよくわかりました。旬の食材のおいしさを知り、家に帰ったらいろいろと買ってしまいそう。どれも本当に美味しかったです。2名のシェフのお料理がいただけて(しかも作り立て、目の前で)本当に美味しく楽しかったです。ありがとうございます。たけのこの季節に処理からいろんな料理方法を教えてもらいたいです。
大貫直克 様 最初はためらっていたのですが参加できてよかったです。調理はわかりやすく、味は優しく、手軽な食材でもアクセントがありとてもよいと思いました。今は食べすぎに注意していますが、どれもおいしく食べ過ぎてしまいました。

総括

今回のサロンはなすび亭:吉岡シェフと賛否両論:笠原シェフという、今を時めく和食会の巨匠お二方の共演ということで、実に三年ぶりの開催も相まって、ご来場いただいた方もさることながら、あじたびスタッフたちも興奮の中、サロン当日を迎えました。

当初2品ずつでお願いしていたレシピでしたが、お二方ともサービス精神旺盛で、3品ずつレシピを考案いただいた上に、白だしや卵白を使ったソースなど、秘密のレシピもご紹介していただきました。

今回作っていただいた料理はどれも日常で手に入る食材を使いながら、下処理の仕方、調味料の比率や使い方、出汁や火入れの時間などをほんの少し変えるだけで、驚くほど味わいが変わりました。

会場からも「普段使用している食材なのに、二人が作ると仕上がりが全然違う。」という驚きの声が随所で聞かれ、まさに「簡単プロの味」を実感できました。

何よりも20年来恵比寿の和食を支える両シェフの華麗な包丁さばきと、料理と会話の随所にお二人の「阿吽の呼吸」を感じられた今回のあじたびサロンでした。

 

 


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これらのイベントを通じて、皆様方とご一緒にシニア向けの美味しいメニューを考えて行きたいと思います。
専門家や識者のセミナー、生産者や料理人を囲む会、レストランで食する会、産地訪問の旅、など、楽しく学べるプログラムを考えます。
おひとりの参加者が多いですが、「食」という共通の話題が、初対面でもすぐ懇意になるような愉しい空間です。
会話も弾みますので、おひとりでも安心してご参加ください。
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