がいに旨いんよ!【愛媛:宇和島~明浜編】
全国味の旅。今回は四国編です。
最初の目的地は愛媛の宇和島。松山空港から車を走らせること1時間半ほどで、宇和島に到着しました。
宇和島は宇和島城を中心に発展した、闘牛で有名な旧城下町です。
今回の目的はお城でも闘牛でもなく、もう一つの名物である「じゃこ天」です。
それにしても、どうして宇和島でじゃこ天が名物になったのでしょう?
気になったので調べてみました。
宇和島のかまぼこ製造の起源は、1615年(元和元年)に伊達政宗の長男:伊達秀宗が宇和島へ分封されたときに、仙台かまぼこの職人を同行させ、製造技術を伝えたのが始まりとされています。
宇和島で獲れる宇和海の鮮魚を素材に、職人の伝統技により作られる練り製品は、ごまかしのない確かな味で親しまれ、特に前浜で獲れるホタルじゃこを使った「じゃこ天」は、地元の名物として全国に伝播していったそうです。
そんな宇和島で無添加にこだわるじゃこ天屋「宇和島屋」の工場を、宇和島屋の山口部長に案内していただきました。
宇和島屋では添加物を加えないため、魚の品質が良くないと粘りが出ずじゃこ天にならないのだとか。前浜で獲れたホタルじゃこを中心とした新鮮な鮮魚を、従業員の方たちが小刀を使って、ワタと頭を一瞬のうちに切り落としていきます。まさに職人芸です。
じゃこ天はとにかく鮮度が命なので、練りの工程でも氷を加えて熱が加わらないよう練り上げ、じゃこ天用の型に入れ、素早く油の中へ投入していきます。
フライヤーからすくい上げられた、できたてのじゃこ天を山口部長から手渡され、ガブリ!アツアツのじゃこ天の表面はパリッと、そして噛みしめるごとにホタルじゃこの甘みが押し寄せてきます。
すりつぶされた骨のシャリッとした食感が程良いアクセントになり、思わず「ビールください!」と・・・
ちがうか(笑)
宇和島で山口部長に別れを告げ、向かう先は西予市明浜(あけはま)町。
明浜でみかんの生産者グループをまとめていらっしゃる加藤さんを訪ねました。
宇和海に面し、日差しが豊かで温暖な気候の明浜では、古くからみかんの栽培が盛んです。
美味しいみかんを作るために重要となるのが太陽の光。
白い石段(石灰岩)を積んだ段々畑で、太陽の光と潮風をいっぱいに受けて育った明浜のみかんは、みかん王国愛媛の中でも「コクと酸味のバランスがとれていて美味しい」と、県内外から高い評価を受けています。
事務所に案内され席に着いたところで、お茶の代わりに出てきたのがみかんジュース。
「まず飲んでみてつかぁさい。」
加藤さんに勧められるままコクコクと。みかんの甘みと柔らかい酸味があり、そしてクリアな後味。雑味は一切感じられず、みかんのビタミンが身体に染み渡っていくようです。
加藤さんによると、通常のみかんジュースは、規格外の品質が劣る果実を絞ってジュースにするらしいのですが、明浜のみかんジュースは、ジュースを作るための「専用果実」として栽培されたものを使用しているという、かなりのこだわりです。
また、えぐみの出ないよう搾る「ベルト式搾汁」のため、1本にみかん3kgも使用するそうで、なんとも贅沢というか、もったいないくらい。
高級感のある、おいしいジュースに出会いました。
松山空港~宇和島~明浜と、約200km強の距離を車で移動して、ようやく宿に到着しました。
生産者の方とのお話が弾んでしまい、お昼ご飯を食べる時間が無かったため、晩御飯はしっかり食べようと、生産者の方がお勧めしてくれた評判のお店
「喜八」さんに伺いました。
珍しいオボソ(カツオの脂が乗ったものらしいです)と清水サバの刺身、カツオの塩たたきに、あおさの天ぷらをいただきました。黒潮で育った新鮮な魚と、四万十川の清流で育ったあおさはどれも美味しかったのですが、特に美味しかったのが塩たたき!
カツオのたたき、薬味、塩加減のどれをとっても素晴らしく、そして何よりポン酢がさわやかで“がいに旨い!” カツオとの相性が抜群で、にんにくの臭みを消してしまうほどでした。この塩たたきは、このお店ならではの味だと思いました。
土佐の魚をいただきながら、陽気な大将と楽しくお話をさせていただき、土佐の夜が更けていきました。
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