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縄文の時代から【広島:地御前編】

全国味の旅。今回の舞台は中国地方。最初の目的地は厳寒の2月~3月にかけて最も美味しくなる牡蠣を求めて広島に向かいました。

東京駅から新幹線に揺られること4時間かけてようやく広島駅に到着。駅前でレンタカーを借り、陽光に輝く瀬戸内の穏やかな海を左手に見ながら車を30分ほど走らせると、突然海を覆いつくすかのような牡蠣筏の群れが現れます。

 

そこから10分ほどで地御前港に到着。生産者の世良さんを訪ねました。

「広島牡蠣の歴史は古くて、縄文・弥生時代から広島湾一帯じゃぁ、天然の牡蠣が食べられとったんじゃ。中国山地から注ぐ清流と瀬戸内海の海水とが混ざり合い、牡蠣の餌となる栄養価の高いプランクトンが大量に発生するけぇ、昔からよう牡蠣が獲れとったそうじゃ。牡蠣の養殖が始まったのもん広島が最初なんよ。現在じゃぁ全国生産量の6割を占める牡蠣大国になったんじゃ。まさに広島は「牡蠣のふるさと」ゆえるじゃろう。」

縄文時代から!?そんな昔から広島では牡蠣が食べられていたんですね。

「とりわけここ地御前は水流の関係で栄養豊かな汐が多ゆぅ集まる海域で、珠んようなつややかで光沢のあるプリプリした身にくっきりとした黒いヒダを持った「地御前かき」が誕生したんじゃ。大正11年から養殖が始まった「地御前かき」は、2002年にゃぁ水産庁官賞を受賞し、名実ともに「日本一んかき」の称号が与えられた。まあ、まずは食べてみてつかぁさい。」

 

そう言って世良さんが牡蠣打ち場から殻付きの牡蠣をバケツで運んできてくれ、おもむろに焼き始めます。焼いている最中に、殻がバチバチ飛んできますが、全く意に介さずどんどん焼いていく世良さん。

「ほれ。できたけぇ。」と軍手越しに渡された牡蠣はぷっくらと膨れ上がり、牡蠣汁がフツフツと音を立てています。

出来立て熱々の牡蠣をフーフー言いながら頬張るとこれが実にうんまい!

焼がきにすることで一層うまみが増し、プリッとふっくらした食感と味の濃さは、他の牡蠣には無い魅力があります。

うまいうまいと夢中で食べていると、バケツ一杯の牡蠣があっという間に空っぽに。

「地御前かきは熱を加えても縮まんけぇ、鍋に入れてもええんよ。」

生でよし、焼いてよし、煮てよしと、走攻守揃ったカープの菊池選手のような地御前かきの美味しさに魅了されました。

 

 

追記:

地御前港をあとにして車を走らせていると道路標識に「西条」の文字が!

西条は別名「酒都」とも呼ばれ、兵庫の灘や京都の伏見と並ぶ日本有数の酒処。
西条駅周辺には7つの蔵が立ち並ぶ酒蔵の町です。

情緒溢れる酒蔵通りを歩けば、酒蔵の一部が開放されていたり、酒造りの歴史を学べる展示品が公開されていたりと、観光にもお勧めです。
西条の酒蔵のお酒を無料で試飲できるコーナーもあることで、飲み比べをしてみて、自分に合うお酒を購入してみては如何でしょうか。