神戸牛生産の名門【兵庫:西脇編】
境港をあとにして再び中国山地を南下。兵庫県西脇市にある神戸ビーフの生産者:川岸さんの牧場を訪ねました。
「ようこそいらっしゃいました。うちは曾祖父の代から牛飼いをしています。昔は、牛は全て田畑を耕すための労働力だったと聞いています。ですので、私も小さい頃から、牛と共に生活をして、牛と共に歩んで来たと言っても過言ではありません。その血なんでしょうね。
やっぱりこっち(牧場)の方が落ち着きます(笑)」そうおっしゃいながら代表の川岸正樹さんが出迎えてくれました。
早速肥育牛舎を見せていただくとその清潔さにビックリ!牛舎というと臭いイメージがありますが、川岸さんの牛舎内は清潔感にあふれ、風通しもよくニオイもほとんど感じられません。しかも牛舎内にはクラシック音楽が流れ、牛たちが寝転がりながら気持ちよく音楽を聞いています。イメージしていた牛舎とのあまりのギャップに驚いていると、
「当たり前の事をしているだけです。牛はとても正直で、おおらかで、美しい生き物です。だからこそ丹念に愛情を注ぎ、丁寧に手間暇を惜しまずに牛達を育てるように心がけています。この子達は、生きている間に受けた愛情や環境、その他いろいろなものを反映しています。狭く汚い、劣悪な環境下でストレスを与えられて育った牛は、どれだけ良い飼料を与えようが、決しておいしい肉にはなりません。」
そんな愛情を込めて育てられた川岸さんの神戸ビーフは、他生産者からも一目置かれる存在で、兵庫県畜産共進会第100回記念大会では、肉牛、牝牛の部で最優秀賞を受賞。過去にも名誉賞3回、最優秀賞6回という数多くの受賞履歴を誇っています。
「私たちが手塩にかけた神戸ビーフを味わってみていただければ嬉しいです。」
はい!是非味わわせてください(笑)と二つ返事でお応えし、牧場から15分ほど車を走らせ、川岸さん直営の「肉料理 樹」にて念願の神戸ビーフをいただくことに。
「神戸ビーフの醍醐味を味わうならやはりこの部位だと思います。」と運ばれてきたのがサーロインとヒレのステーキ。温度が下がらないようにと、わざわざ鉄板に乗せて、一番おいしいタイミングで運んできてくださいました。
神戸ビーフのステーキ達が目の前に!高級牛独特のミルキーな甘い香りが辺り一面に漂います。
ステーキソースもあったのですが、肉本来の味を楽しむために下味の塩コショウのみでサーロインからいただくと、これが何ともふんわりジュッワァ~!
とろけてしまうほど柔らかな肉質、口の中で溢れる肉汁の甘み。赤身にもしっかりと旨みが乗っていて、両者が相まって抜群の美味しさです。
続いてヒレをいただくと、こちらも素晴らしい味わい。
口の中でまったく抵抗なく噛み切れる肉質の柔らかさと、サーロインを凌駕する圧倒的な赤身の旨みが広がります。
もちろん神戸ビーフなので、ヒレと言ってもうっすらとサシが入っており、この淡く入ったサシの甘みがアクセントになり、より一層赤身の旨みを強調しています。
しかもいただいたのはメス牛で、その柔らかさはまさに「歯がいらない」という表現がピッタリ。結構なボリュームがありましたが、食後もまったく胃もたれすることもなく、最後までおいしくいただくことができました。
日本三大和牛の味わい。
一口ごとに目を閉じて堪能させていただきました。
神戸牛(神戸ビーフ)とは:
但馬牛の中から神戸肉流通推進協議会に登録する指定生産農家によって肥育され、兵庫県内の指定食肉センターでト蓄されること。格付がA,B等級でBMS値(霜降りの入り具合を示す数値)が6以上であること。メスでは未経産牛、オスでは去勢牛等の厳しい基準をクリアしたものだけが「神戸牛(神戸ビーフ)」となります。
川岸牧場では「メス牛」のみを肥育。メス牛の特徴は、良質な脂の旨みときめ細かい肉質。「神戸牛の霜降りの美味しさを分かってもらうにはメス牛が最適だから」と川岸さんは言います。
今では「超」がつく高級店で川岸さんの神戸牛が扱われています。
そんな超高級店に行かずとも、あじたびでは川岸さんの神戸牛をご自宅へ直送します!