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秋に出かけたい町【兵庫:丹波編】

川岸畜産で舌も心もとろけるような神戸ビーフを堪能し、口福に満たされたあじたびスタッフ。続いての目的地:丹波地方へ向け、ふたたび山道に向かいます。

丹波地方は日本一と言われる丹波の黒豆をはじめ、栗や米などいずれも極上の農産物が収穫される土地。豊穣の秋のタイミングでの訪問に、神戸ビーフでいっぱいになっているはずのお腹がまた、食欲の秋を迎えました(笑)。

 

最初に訪れたのは、丹波市春日町にある「やながわ」さん。丹波で収穫された農産物を自社の特産加工場にて加工。それを原料に和洋菓子を製造販売している会社です。

工房を取り仕切る秋山さんが案内してくださいました。
「丹波地方は周囲を山々に囲まれ霧深く、寒暖の差が激しいため、品質の良い農産物が獲れ、また京の都に近いことから、天皇や皇族だけでなく、朝廷の貴族達にも愛された特産品が生まれました。まずはこのぜんざいを召し上がってみてください。」

山から吹き降ろす寒風に身体の芯まで冷え切っていたスタッフ。ありがたく頂戴して、ホカホカと湯気を立てるぜんざいをひとすすりすると…

ぜんざいの小豆は大粒で風味高く、黒豆はコク深い旨みが凝縮された味わい。
大粒の栗の渋皮煮はホクホクとしており甘みが濃厚。
豊かな風味が口の中に広がり、心も身体もほっこりと温まります。

 

「このぜんざいには丹波の特産品が詰まっています。小豆は丹波の中でもここ春日町でしか育たない在来種の「黒さや」を使っています。黒さやは丹波大納言の原種とも言われていて、風味が豊かであることから古くから幕府や宮中に献上されてきました。

そして今の時期が旬の丹波栗。

丹波栗は日本最古の古典「古事記」にも名前があり、昔から『市場に持ってゆくと銀と交換できる』と言われている程なんですよ。これらの原料を、うちでは一つ一つ小さな鍋でじっくりと炊いてぜんざいにしています。」

極上の丹波食材を使ったぜんざいは手作りならではのぬくもりを感じました。

ぜんざいをいただいて身体も温まったところで、次に向かったのは丹波篠山市日置の黒豆生産者の波多野さんの黒豆畑。

ちょうど収穫時期前で時間のあった波多野さんとお話をすることができました。

 

「大粒で品質の高い黒大豆として全国的に知られる『丹波の黒豆』ですが、丹波地方の中でも丹波篠山産は別格とされていて、篠山産は同じ丹波地方の黒豆でも市場では高値が付きます。

丹波の黒豆は『丹波黒』という品種なのですが、この日置地区は丹波黒発祥の地のひとつと言われているんです。

日置村の豪農:波部六兵衛と本次郎によって作られた「波部黒(はべぐろ)」という品種が元になっていて、昭和に入り、波部黒を兵庫県の農業試験場が品種特性などの研究を行った後に、「丹波黒」と命名し種を世に送り出したのが現在の「丹波黒大豆」なんです。」

「丹波黒は大きな豆で育成に時間がかかります。正月用の黒豆に間に合うかどうかというギリギリのところで、葉を落とし、枯らす作業をおこなったりします。収穫後も機械乾燥をおこなう方も多いですが、うちではなるべく豆が完熟するまでじっと待ってから収穫し、自然乾燥させる従来のやり方で育てています。完熟させる事で味が濃くなり、自然乾燥させることで黒豆の香りがより一層増します。」

 

美味しい黒豆づくりには、あせらずにゆっくりじっくり待つ時間が必要。丹波の黒豆発祥の地で、伝統手法を守り続ける波多野さんの笑顔が印象的でした。

丹波篠山で黒豆の圃場を見学した後は、篠山城近くにある老舗猪肉専門店「おゝみや」さんへ。

お店の前でおゝみやの河原さんが出迎えてくれました。

「しし肉は全国で獲れますが、丹波篠山は「ぼたん鍋発祥の地」と言われていて、毎年11月を過ぎると、ぼたん鍋を求め、全国各地からお客様がここ篠山にいらっしゃいます。陽も大分沈んできましたし、寒かったでしょう。こちらで身体を温めてください。」

奥へ案内されると鉄鍋でグツグツと煮えるぼたん鍋の姿が。早速いただくと、甘辛の味噌出汁が冷えた身体に最高のご馳走です!赤身は旨みが凝縮されていてコク深く、白身は融点が高いのか、かごしま黒豚を彷彿とさせるしっかりとした食感があります。ジビエにありがちな臭みは一切なく、噛めば噛むほど滋味深い味わいがあふれ出し、一般的な三元豚に比べて旨みも甘みも濃い印象です。

 

 

「丹波篠山の猪肉は全国でも美味しいと言われています。理由は何と言っても西丹波の山々が育む、栗や芋、キノコや豆類など豊富な食べ物にあります。これらを猪たちが食べることで、皮下脂肪がたっぷりと付き、また野山を駆け回ることで筋肉が付くため、旨みの濃い赤身になるんです。猪というと抵抗のある方もいらっしゃいますが、うちでは地元漁師が獲ってきた新鮮なしし肉を手際よく処理するため、臭みはまったく出ません。初めてお召し上がりになる方も『しし肉がこんなに美味しいなんて』とおっしゃいます。」

食べ進めるうちに身体がポカポカと温まってきました。

「昔からしし肉には滋養強壮の源と言われており、身体を温める効果があると言われています。篠山では、病気になるとぼたん鍋を薬代わりに食べる習慣が今でも残っているんですよ。」

まさに「医食同源」丹波篠山に伝わる伝統の味をいただきました。

丹波地方の自然環境が育む豊穣の秋の味わいを堪能しお腹いっぱい!心も身体もポッカポカのあじたびスタッフでした。

 

追記:

おゝみやさんを出た後、市内にある河原町に立ち寄りました。

河原町は商家の町で、通りには江戸時代から昭和期の町家や蔵が建ち並んでいます。

昔は家の間口の大きさによって税金が決められていたため、税金がなるべくかからないよう、どの家も間口を狭く、奥行を深くして建てていたそうです。

いつの時代も節税対策の苦労はあったんですね。