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ぞっこんLOVE!【兵庫:淡路島編】

室津で海の幸を堪能したあじたびスタッフ。瀬戸内を右手に眺め、世界最長の吊り橋「明石大橋」を抜け、次の目的地:淡路島へ向かいました。


北海道、本州、四国、九州を除いた日本最大の大きさを誇る淡路島。万葉の昔より「御食向かふ(みけむかう)」を枕詩に詠まれ、奈良・平安時代の頃から御食国(みけつくに)として朝廷に数々の食材を納めてきました。古事記の仁徳天皇の項には「旦夕淡路島の寒水を酌みて、大御水献りき」とあり、毎日飲む水までもが、ここ淡路島から朝廷に運ばれていたそうです。


うにや鱧(ハモ)、フグといった海産物や玉ねぎに代表される農産物が有名な淡路島ですが、良質な水で育つ畜産物も有名。神戸ビーフや松阪牛の約6~7割は淡路島生まれなのだそう。

今回はそんな淡路島の畜産物の中でも、その味わいが評価されている「淡路島ポーク」の生産者:嶋本さんを訪ねました。

「淡路島ポークは猪と豚を交配させたいわゆる『猪豚』になります。私は淡路島ポークの味わいにぞっこん惚れ込んでます。」

もともと食肉卸業を営んでいた嶋本さんが猪豚が町おこしの起爆剤になるのではないかと考え、1975年に養豚場を開設。以来約半世紀にわたり、猪豚の飼育に携わってきました。
「猪豚は一般的な豚に比べて肥育日数が1.5倍程度かかりますが、脂身が厚いため市場では規格外品となり、味に対しての評価はしてもらえまへん。生産者が自分たちで直接販売でけへんと、コストだけがかかるリスクの高い豚やさかい、飼育農家が年々減少し、ついには担い手がおらへんようになる事態にまで陥りました。

『せっかくの美味しい豚が無うなってまうのは勿体あらへん。』て思い、また元々私が食肉の卸をやっとったため、販売も行えるのちゃうかと一念発起しました。」

 

こうして猪豚の飼育を始めた嶋本さんが徹底的に追い求めたのが「味」。
「最高の味わいと口当たりの良さを実現するため、猪豚の交配は30年間試行錯誤しましたが、猪・黒豚・デュロック・ゴールデンカンデの四元交配がベストやと気付きました。飼料も地元淡路島のお米や酒粕を与えることで、肉質の改善に取り組みました。時間はかかりましたが、ようやく納得のいく品質に辿り着いたと思います。話が長なってまいましたけど『論より証拠』まずは食べてみてください。」

奥から運ばれてきたのは淡路島ポークの焼肉。淡路島ポークの味をダイレクトに楽しんでもらうため、味付けは塩のみ。嶋本さんに促されるままに口に運ぶと、最初に感じるのが脂の美味しさ!口に入れた瞬間に脂の甘みがいっぱいに広がり、スーッと溶けていく感覚は「これが本当に豚の脂か!?」と思うほど。まるで高級な黒毛和牛を食べているかのようです。赤身も猪の緻密で旨みの濃い肉質を引き継いでいるものの、猪特有の臭みは一切感じません。

「うちの淡路島ポークの脂身は、旨味成分である不飽和脂肪酸のオレイン酸比率が一般の豚と比べて高いため、融点が低いのが特徴なんです。脂身が甘いのはおやつにあげる酒粕が効いてるんや思います。」

 

口に入れると、甘みが広がりさっととろける。まさに『至高の豚肉』といっても過言ではありません。

そんな淡路島ポークの美味しさは口コミで広がり、2017年には料理界を代表する一流シェフと百貨店のバイヤーたちが選ぶ「料理王国100選」にも選ばれ、生鮮食材部門では唯一となる優秀賞を獲得するなど、その味と品質はプロも認めるほどになりました。

「ほんまに自分が美味しいと思うものを目指して、この子(猪豚)たちを手間暇かけて育ててるさかい、評価されるのは嬉しいですね。」

かく言う嶋本さんの次の目標は海外への挑戦だそう。

「淡路の豚」から「世界の豚」へ。不断の努力を惜しまない嶋本さんの淡路島ポークなら、世界の食通をも虜にすると確信するあじたびスタッフでした。

 

 

追記:

淡路島は海鮮も有名なので、帰路に海鮮料理屋にも立ち寄りました。

刺身の盛り合わせをいただいたのですが、一番印象に残ったのが何と付け合わせの「わかめ」。
淡路島のわかめが美味しいと話には聞いていましたが、ここまで旨みが強く、肉厚でプリプリ食感のわかめには初めて出会いました。

嶋本さんが「うちの淡路島ポークと淡路島のわかめをしゃぶしゃぶにしたら最高やで!」と言っていた言葉の意味が良く分かり、海鮮料理屋でおこがましくも
「淡路島ポークはありますか」と尋ねてしまったあじたびスタッフ2でした。

ないですよね~