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今年の新米はいいよ!【魚沼十日町編】

新米たちの様子を見に、魚沼地方へ行ってきました。



魚沼滞在中はすっきりしない天気だったものの、幸いにして雨もぱらついた程度で、時々のぞく晴れ間から黄金色に輝く稲穂を眺めながら魚沼地方をまわり、生産者の方や米のソムリエ:富井さんとお話をしてきました。

 

今年は台風が来なかったため田んぼの生育も順調そのもの。
稲は夏場に成長が著しかったため、背が高くなりすぎ、一部で倒伏が見られましたが、稲穂は地面に着くことなくしっかりと太陽の光を浴びぷっくりと膨れて元気な様子がうかがえました。

生産者の方も「今年は冬に雪が降らなかったため、水不足が心配されましたが、7月の長雨が恵みの雨になり、8月はお天気が続いて天候にも恵まれ稲も順調に生育してくれています。このまま長雨が降らなければ、予定通り今週末には刈り入れが出来そうです」と満面の表情を浮かべていました。

地元魚沼の米のソムリエ:富井さんも、生産者の方のお話を伺いながら稲穂を手に取り、一つずつ実入りを確認していましたが、稲穂の登熟ぶりに『確実に昨年を上回る出来。今年の新米はいいよ!』と、納得の表情を浮かべていました。

今年のお米も期待できそうです。

新米の様子を確認した後、「へぎそば」を製造する「あてま」さんを訪問しました。

 

「へぎそばは十日町の郷土そばです。へぎそばの「へぎ」は【剥ぎ板(へぎいた)】を表し、剥ぎ板で作った折敷にそばを載せて提供されることから、「へぎそば」という名で呼ばれるようになりました。
今では全国にファンが多く、昭和天皇や芸術家の岡本太郎さんもへぎそばが大好物で、十日町に来るたびにお召し上がりになっていたようです。」

あてまの代表を務める:富井さんからへぎそばの由来をうかがい、早速へぎそばの製造工程を見せてもらいました。

生地作りから見せていただいたのですが、そば粉、小麦粉に緑色の食材を練り込んで捏ねていきます。
「緑色の食材は『布海苔(ふのり)』と呼ばれる海草です。十日町は上杉謙信公が麻織物生産を奨励して以来着物作りが盛んで、糸をつむぐ際に使われていた布海苔をそば生地のつなぎにしたところ、鮮やかな緑色と独特の喉越しと食感が生まれたため、布海苔を練り込んだ郷土そば『へぎそば』が誕生しました。
この布海苔の出来が味わいに大きく左右するので、うちは青森産の最高級の布海苔を使用し、銅釜でじっくりと炊き上げることにより布海苔本来の鮮やかな色合いを残しています。」

布海苔を練り込んだ生地を熟練の職人の手で伸ばし~裁断を経て、生そばに。打ちたてのへぎそばを湯がいていただき、早速いただきました。

 

茹で上げ、氷水で締めたへぎそばは見るも鮮やかな翡翠色。そばつゆにへぎそばを浸して一口すすると…なんだこののどごしは!喉もとまで一気に入ってしまうほどのツルンとした滑らかな食感、そして噛み切れないほどのコシの強さに驚かされます。

「布海苔を使うと、このツルツルとした喉越しと強いコシが生まれます。これがへぎそばの最大の特徴です。うちはそば粉も十日町の地粉100%ですし、そばの香りを楽しんでもらうため、つゆもクセの無い味に仕上げています。」

確かに鰹節と鯖節をふんだんに使用した江戸前出汁の蕎麦つゆとのバランスも絶妙。そばつゆが主張しすぎず、布海苔とそばの香りと味わいをより一層深めています。

「美味しい、美味しい」と、一口、もう一口と箸が止まらず、気づけば3人前をあっさりと平らげてしまいました。

『米と着物とそばの町』十日町の魅力を堪能しました。

 

追記:
へぎそば3人前が胃の中で膨らみ、お腹がはち切れそうになったあじたびスタッフ。
食後の腹ごなしがてら十日町の景勝地:日本三大渓谷「清津峡」にある「清津峡トンネル」を訪れました。
全長750mのトンネルを進んでいくと道中に4か所の展望ポイントがあり、それぞれにアート作品が展示されているのですが、トンネル奥にあるパノラマステーションが一番の見所です。

トンネル壁面がステンレス銅板に覆われ、床面に薄く張られた水たまりが映し出す景色が実に幻想的。水たまりの脇は歩けるようになっているので、トンネル出口の前でポーズを決めて撮影も可能です。

日本三大峡谷と現代アートが織りなす「インスタ映え」間違いなしの景観美を前に、三段跳びのポーズを決めようか悩みましたが、ためらっているうちに帰る時間になり、「時間切れ失格」となりました。